電車やバスに乗ると、手すりや吊革に、「抗菌加工」などと明記されているのをよく見かけます。
「抗菌」というと、菌への効果は安心ですが、ウィルスなどにはどうなのか、気になりますよね。
また、抗菌加工とは、実際どんな加工をしているのでしょうか。
抗菌のほか、抗ウィルスや抗カビについても、それぞれご紹介します。
1.「抗菌」の基準
抗菌とは、時間が経っても菌が増えない状態をさします。
つまり、「抗菌加工」とは、製品の表面の細菌が増殖しないように加工されているということです。
日本産業企画(JIS)では、この抗菌加工について、加工されていない製品の表面と比較した場合、細菌の増殖割合が100分の1以下(抗菌活性値2以上)である場合に「抗菌効果がある」と規定しています。
ただし、これは「菌」に対してのみの話。
「抗カビ加工」の場合は、防カビ剤を配合した製品において、製品表面のカビの育成が、基準により抑えられたことが確認できたものと規定されています。
「抗カビ」製品は、お風呂場でつかう洗面器など、水回り用品に多く見られます。
ではウィルスはというと、「抗ウィルス加工」があり、特定のウィルスの数を減少させる効果が認められたものという規定があります。
たとえば布地の繊維に酸化チタンなどの光触媒を塗布加工するなどして、紫外線を利用しウィルス表面のたんぱく質などを変性させ、減少させるという仕組みなどがあり、カーテンなど布製品や壁などに使う塗料などにも使われています。
2.「抗菌」が規定している細菌とは
自然界には無数の細菌が存在しています。
抗菌グッズや抗菌製品は、さすがにそのすべての細菌に効果があるというわけではありません。
JIS規格で規定しているのは、黄色ぶどう球菌、肺炎桿菌、大腸菌のうちいずれか2種とされていて、これらに抗菌効果が認められると、その製品は「抗菌」と銘打てることになっているのです。
この3種の菌は、いずれも食中毒や重篤な疾患を引き起こす可能性があるもの。
そのため、まな板や冷蔵庫、マスクケース、食器洗い用スポンジや便座といった、日常的によく使う製品に用いられることが多いです。
3.効果は永遠ではない
抗菌加工された製品の効果は、永遠ではありません。
長期間使い続けることで製品の表面がすり減るなどし、その効果は徐々に薄れていってしまうのです。
そのため、抗菌製品だからと過信することなく、何年か使ったら買い替える必要があります。
また、常日ごろの手洗いやうがい、こまめな掃除などで清潔を保つことが大切です。
まとめ
抗菌とは、黄色ぶどう球菌、肺炎桿菌、大腸菌のうちいずれか2種について、増殖が100分の1以下に抑えらる効果があるものを言います。
しかしその効果は永遠ではないので、定期的に買い替えたり、日ごろから手洗いなど清潔を保つ意識を持つことが大切です。